NCBNニュースレター

平成30年04月30日 第04巻 第02号

NC活動状況

NCBNからのお知らせ

  今号では、NCBNを構成する6つのバイオバンクが保有する試料・情報に興味をお持ちの皆様へ、それぞれの特徴を生かした取り組みをお知らせいたします。主な内容は次の通りです。これらをご覧になっていただけば、NCBNが豊富な臨床情報を備えたヒト組織を提供する、我が国でも他に例をみないネットワークとして活発に事業を展開していることを、よくお分かりいただけるものと期待しています。

  • 国立がん研究センター(NCC)のバイオバンク部門は2017年夏に竣工した新研究棟へ移転し、企業やアカデミアなどとの共同研究を活発に展開しています。
  • 国立循環器病研究センター(NCVC)では子ども向け説明文書(アセント)の改良に取り組み、近年の大人っぽい子ども像にあわせたバージョンを作成しました。
  • 国立精神・神経研究センター(NCNP)は世界的にも貴重な脳脊髄液リソースを所有し、共同研究または分譲にて企業を含む多くのプロジェクトでの積極的な利活用を進めています。
  • 国立国際医療研究センター(NCGM)でも企業担当者の要望に応える態勢を整えつつあり、MTAに基づく試料提供を始めるとともに、入院と同時に研究用の採血も行える環境を整備しています。
  • 国立成育医療研究センター(NCCHD)では試料の管理や匿名化から臨床情報の抽出までを確実に履行できるラボラトリー情報管理システム(LIMS)を平成29年度に導入し、共同研究または分譲を促進する仕組みを充実させています。
  • 国立長寿医療研究センター(NCGG)は企業との共同研究にてアルツハイマー病の血液マーカーの測定技術を開発しましたが、この成果で試料の品質管理を徹底するバイオバンクの有用性が示されました。

 

第4回アカデミック フォーラム <大阪> に参加しました

  インテックス大阪において2018年2月21日(水)~23日(金)に開催された第4回アカデミック フォーラム <大阪>に参加し、ブースの出展とセミナーを行いました。

  アカデミック フォーラム は、医療・介護総合EXPO 大阪(通称:メディカルジャパン 大阪)の一部として開催されました。同時に開催された第4回再生医療 産業化展など7つの医療系展示会を含めた入場者総数は31,245名となり、「医療の総合展」にふさわしい規模となりました。
  NCBN展示ブースでは、各NCバイオバンクの実務担当者が、NCBNの活動に関する説明とアンケート調査を行いました。また、「ナショナルセンター・バイオバンクネットワークの使命と活動について」と題して、NCBNの活動に関するセミナーを実施しました。
  約100名の訪問者から47通のアンケート調査を得ることができました。訪問者に対する情報提供に加えて、各NC担当者間の情報交換、およびアカデミックフォーラムの他組織の出展者との情報交換、さらにセミナー聴講など、多くの有益な情報収集を行うこともできました。
第4回 アカデミック フォーラム 大阪
アカデミックフォーラム プログラム

(写真)第4回アカデミックフォーラム2018 <大阪>
NCBN展示ブースの様子

NCC

  昨年夏に新研究棟が竣工し、それに伴い国立がん研究センター(NCC)バイオバンクも、新研究棟2階に移動しました。これまでと同様、新たながんの予防法、診断法、治療法といった、主にがん克服に向けた開発のため、患者さんからの同意を得た上で、医学研究に必要なヒト試料とそれに紐づく臨床情報を収集しており、これらは必要な研究に用いられています。
  そうした研究には、センター内の研究者で行われる研究はもちろん、企業や他のアカデミア等との共同研究もあり、今治療法のない患者さんへ、必要な医療が早く届けられるよう、様々な研究が行われています。バイオバンクのヒト試料には、手術由来の組織から、診断に支障をきたさない余剰部分を採取する凍結組織と病理ブロックからの標本、診療で残った血清、血液由来のDNA、RNA、血漿があり、臨床情報とともに、それぞれが適切に管理されています。

 

NCVC

小児用意思確認書を作成しました

  NCVCでは先天性心疾患の患者も多く、また、小児の心臓移植も開始されたことから15才以下の小児についてのバイオバンク同意の取得を推進するために、小児用意思確認書(アセント用)を作成しました。構想当初はいわゆる子供向けの説明文章を作成しましたが、最近の小児は理解が早く、子供っぽいものは好まないとの情報があり、説明文書は成人用にふりがなを振ったものを使用することにしました。
  また、新たに外部医療機関向けの 同意取得と検体送付の手順 を追加した国循バイオバンク説明同意文書 を作成し、外部医療機関からのバイオバンク検体の受け入れ開始に向けて取り組んでいます。


小児用意思確認書(アセント用)

NCNP

  脳脊髄液は脳の周囲にたまっている無色透明の液体(成人で約150ml)で、大半の成分が脳の表面より浸出したものだと近年考えられています。バリア(硬膜と血液脳関門)により他の臓器から隔離され、脳由来の分子を豊富に含むため脳神経疾患のバイオマーカー開発には極めて有力な試料です。アルツハイマー病の髄液診断検査のように既に実用化(保険収載)されているものもあります。NCNPでは、2010年より脳脊髄液の収集を始め、これまでに合計4,676検体を集積しました(2018年3月末)。特に、うつ病などの精神疾患や健常対照者の脳脊髄液(合計1080検体)については、国内は無論、世界的にも貴重なリソースとなっています。
  脳脊髄液は腰椎穿刺という方法で腰に針を刺して採取しますが、穿刺の痛みを軽減し(採血の半分以下)、特殊な針(先端の尖っていない針)を使用することで副作用を半減させることにも成功しました。また、各診療科や臨床検査部と密接な連携をとり、迅速(30分以内)に処理・凍結保存しています。ほとんどの症例では同時に採血し血漿・血清も保存しています。既に共同研究もしくは分譲により企業3社を含む多数(26件以上)のプロジェクトで使用されています。

NCGM

NCGMバイオバンクからの試料等提供について

  国立国際医療研究センター(NCGM)バイオバンクでは、H28年度より、MTAでの試料提供(NCGMが研究に関わらない形での試料提供)を開始しており、製薬企業、臨床検査薬開発企業および大学等への試料等提供を随時実施させていただいております。
  試料の収集については、企業の方々から寄せられた「手術前後の検体がほしい」・「感染症検査の情報が欲しい」との多くのご要望を参考に、①入退院支援センターの介入時に包括的同意を取得し、②入院前検査採血と同時に研究用採血を実施するよう、一部のクリニカルパスに載せて活動しております。 また、今後手術組織の研究需要にも応えられるように組織バンクの構築をしております。
  試料等を活用される研究者と同じく、「より良い研究の成果を追求したい」という思いは、バイオバンクを運営するメンバーも同じ気持ちでおりますので、どのようなことでもお気軽にお問い合わせください。 今年度もどうぞよろしくお願いいたします。


<手術組織:記録情報の例>

NCCHD

  成育バイオバンクでは、検体の管理や匿名化、臨床情報の抽出をより確実に行うことができる「ラボラトリー情報管理システム(LIMS)」を導入し、現在稼働中です。LIMSの導入により、バーコードを用いることで検体の管理を簡便にし、かつ個人識別情報の安全に配慮し、分譲・共同研究が行いやすい環境になることを目指しています。なお、問診票に記載されたデータに関してもデータ化を行い、臨床情報については電子カルテシステムから抽出することが可能となります。今後、試料提供者の方々が増加した場合にも対応可能な体制を構築し、バイオバンクをご利用される方々に活用されやすい環境となるよう、スタッフ一同頑張っております。
  また、当バンクで連携している「小児希少・未診断疾患イニシアチブ(IRUD-P:アイラッド・ピー)」に参加されている患者さまから検体を提供していただいております。IRUD-Pで診断が確定し、治療方針が変更となり、よりよい治療を行うと同時に提供いただいた検体から研究を行うことができる環境を構築しており、今後のゲノム医療実現に向けた取り組みを進めています。

NCGG

バイオバンクの利活用で創出された成果(利用者からの寄稿)

  NCGGと島津製作所・田中耕一記念質量分析研究所を中心とした研究チームは、アルツハイマー病(AD)の原因物質とされる脳内アミロイドβの蓄積状態を捉えることができる高精度の血液バイオマーカーの開発に成功し、大規模なデータセットでその有用性を検証した結果を報告することができました。この研究では、バイオバンクに保存されていた臨床研究参加者(AD、軽度認知障害、認知機能正常高齢者)の血漿サンプルも多数解析されましたが、サンプルは採血後処理から凍結保存管理、島津製作所への送付までを全てバイオバンクがサポートしてくれますので、安心して解析に注力することができました。
  実際に測定されたサンプルの解析結果は、非常に高いバイオマーカーのパフォーマンスを示しましたが(PiB-PETで判定されたアミロイド陽性者と陰性者を約90%の精度で弁別)、これにはバイオバンクの適切なSOPに基づいたサンプル処理が大きく寄与していると考えられました。今回の成果は、これからの医学研究におけるバイオバンクの重要性を示すものと思われます。(文:脳機能画像診断開発部 中村昭範)

 

NCBNカタログデータベース登録状況(2018年4月19日時点)

◆カタログデータベース登録者数・検体数 (6NCの保有試料概数 2018年3月31日時点)

この他、新規試料群の登録者数として20,512件の症例につきましてお問い合わせできる検体がございます。

◆登録者の性別割合

◆疾患ごとの登録者の性別割合

◆登録生体試料ごとの利用申請条件(グレード)

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