プロジェクト概要

はじめに

国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター:National Center)は、国民の健康に重大な影響のある特定の病気を解明し克服することを使命としています。すなわち、各々の病気に関する最高レベルの医療を患者さんに提供できるようにスタッフが日夜努めるとともに、特に診断・治療に苦慮する難しい病気を対象として、新しい診断・治療・予防技術の開発にも取り組んでいます。しかし、このような医学の進歩に向けた取り組みには、患者さんの診療を行う上で必要とされた検査に使われた血液、体液や組織、手術等で摘出された組織など、そして研究のために採血させて頂く血液の利用が不可欠です。

これらを利用して行われる研究から得られる成果は、現在、各々の病気に悩まされている人々だけでなく、将来の世代(子供、孫の世代)の人々をも病気から救うことができる可能性を秘めています。

以下、「新たな医療の創造」に向けて6つのNCが協力して取り組む、血液・組織等の保管、研究のための手続きの整備などを説明します。NCの使命をご理解のうえ、ご協力頂きますようお願いします。

目的

多くの高頻度の疾患(common disease:がん、心血管病等の生活習慣病、認知症など)の成因・病態は極めて複雑であり、その解明・克服のためには多面的かつ統合的な研究アプローチが必要とされます。また、難病(その多くはrare disease:稀少疾患)の有効な治療法開発にも、実態調査・基盤研究から臨床への展開研究が必要です。従来から、ヒトの生体由来試料 - バイオリソース - が研究目的で収集保管され、それを活用することで最先端研究を推進しようという動きは見られました。特に近年、ゲノム医学・再生医療分野の技術革新が進むにつれて、バイオリソースのバンク化の重要性が認識され、各国が精力的に「バイオバンク」構築に取り組んでいます。

我が国は、“iPSなどの細胞株の加工技術”及び“高精度な医療情報”において、先進諸国に対する優位性を保っていますが、バイオバンク構築に関しては十分といえない状況です。

6つのナショナルセンター(NC)は主要な疾患を網羅し、国民の健康を守るために疾患の解明と治療法の開発を目指す医療研究機関であり、これらが率先して共同のバイオバンク構築に取り組み、6NCとの幅広い共同研究等を通じてバイオリソースを産学官連携して活用できるような仕組み作りをすることが、本事業の目的です。

組織

ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)の概要

本バイオバンク事業は、ネットワーク型・連邦型の組織形態で運営されます。6NC各々の自立性を考慮した上で真に実効性の高い持続的な研究支援活動を行うために、中央データベース管理などの専門家組織を含む中央バイオバンクと事務局が設置され、多施設協力体制でのバイオリソースの収集・活用を推進するために、バイオバンク運営協議会が設置されています。

各NCが主体的に進めるバイオリソース整備の一層の拡充を行うとともに、6NC共通のバイオリソース収集の仕組み-共通プラットフォーム-を構築し、連携する医療機関等とともに幅広い共同研究推進を支援する仕組み作りを進めていきます。

NCBNの組織体制

本バイオバンク事業を推進するための組織体制を下記のように再編成しました。随時、バイオバンク事業の継続を検討していきます。

会議体・委員会

会議体・委員会 業務(今後予定するものを含む)
NCバイオバンク長会議 ・試料並びに臨床情報の登録・管理・利用に関する事項。
・倫理・将来構想に関する事項。
・必要に応じたWGの設置。
情報関連実務者会議 ・6NC情報ネットワークに関する事項。
・カタログデータの共通データフォーマットに関する事項。
・予後追跡調査の実施に関する事項。
・6NC共通検体番号システムの導入に関する事項。
倫理実務者会議 ・Central IRBの運営、Incidental findings(偶発的所見)への対応支援に関する事項。
・MTA・共同研究契約書等手続き文書の整備に関する事項。

ワーキンググループ

ワーキンググループ(WG) 検討課題
広報に関する工夫WG ・6NCの主疾患と対応する取り組みに関する広報の検討。
・NCBNホームページ全体の見せ方を検討。
・試料等の利活用に関する広報の検討。
・NCBNの認知度向上を検討。
研究活用WG ・6NCにおける有償分譲の共通化に向けた整備。
・有償分譲手続きの検討・整備。
・有償分譲に係るバイオリソースの利用枠組みの検討。
品質管理WG ・ISO等国際標準化の調査と情報共有。
・NCBNにおける品質管理についての検討。
・各NCのSOP整備と6NCにおける標準化。

実務推進組織

実務推進組織 業務(今後予定するものを含む)
事務局 ・統合支援機能を担当する中央バイオバンクとしての事務業務並びに支援。
・6NCバイオバンク事業の進捗把握・工程管理。
・試料活用希望者に対する One stop site としてのサービス提供に関する事項。
中央データベース・広報部門 ・カタログデータベースの構築・管理・運営(病名登録、共通問診票の整備を含む)に関する事項。
・6NC間の試料及び医療情報ネットワーク・プラットフォームの構築に関する事項。
・NCBNホームページの構築・管理・運営に関する事項。
・産官学への広報及び他研究機関等との連携構築に関する事項。
・カタログデータベースを用いた試料利活用促進に関する事項。

情報セキュリティ(倫理的配慮)

本事業では、試料・情報提供者の臨床情報や遺伝情報を扱うため、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年3月29日(平成25年2月8日全部改正)文部科学省、厚生労働省、経済産業省)にもとづき、これらの情報の保護を適切な管理下で行なうことを最優先課題としています。

平成24年度に見直された同倫理指針の「試料・情報の収集・分譲の在り方」に則って、6NCでは要件・手続き等を慎重に検討しました。そのうえで、試料・情報提供者から適切な同意が得られており倫理審査で承認されている場合においては、各NCで収集した試料等を連結可能匿名化の状態で他研究機関に提供していく予定です。

個々のNCは、本事業関係者一人ひとり及び組織全体で当該情報の適切な管理と保護に取り組み、倫理的配慮を心がけていきます。

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