Summary

Hum Mol Genet. 2018 Dec 1;27(23):4024-4035. doi: 10.1093/hmg/ddy293.

A patient-derived iPSC model revealed oxidative stress increases facioscapulohumeral muscular dystrophy-causative DUX4.

Abstract:

日本語要旨:

DUX4は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD) の原因遺伝子であり、FSHD患者では4q35のクロマチンの弛緩により骨格筋細胞に異所的に発現している。患者由来のiPS細胞からの筋細胞モデルを用いて、FSHD1とFSHD2両方の筋細胞において酸化ストレスによるDUX4発現の増加がみられることを究明した。CRISPR/Cas9と相同的組み換えによりSMCHD1変異を持つFSHD2由来の同系コントロールクローンを作成した。そして、それらのクローンから得られた筋細胞から、DUX4の基本的な発現と酸化ストレスによる上方調節は、4q35のヘテロクロマチンの状態によって著明に抑制されることが判明した。さらに、酸化ストレスに誘発されるDUX4の増加と特定のATM (DNA損傷応答の制御因子)が、DNA損傷応答に関与することがわかった。FSHD筋細胞における弛緩したクロマチンの状態は、酸化ストレス誘発性のDNA損傷応答シグナルの異常な経路、それゆえDUX4の発現増加を容認してしまうことが今回の結果から示唆される。以上の結果より、酸化ストレスはFSHDの進行を促進してしまう環境リスク因子となりうることが示唆される。

DOI:  30107443

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