平成30年07月31日 第04巻 第03号 特集記事:中央バイオバンクとは
Newsletter Volume 4 Issue 03, July 31, 2018 (in Japanese).

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【ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)/国立循環器病研究センター(NCVC)】

  第4回クリニカルバイオバンク学会シンポジウムが、2018年7月6日(金)から7月8日(日)まで京都大学にて開催されました。NCBNではポスター展示を行いました。試料の利活用やバイオバンクの運営について、お問い合わせをいただきました。
  学会場では、「医療開発に必要なヒト生体試料に求めるもの」、「バイオバンクのネットワーク化で何が変わるのか」、「国民皆保険の中で行うゲノム医療は可能か」、「がんゲノム医療に必要な人材育成」などのテーマについて熱心な討議が行われました。
  学会開催期間中に発生した西日本豪雨により被災されました皆様ならびに地域の、速やかな復旧を願っております。また、2018年6月18日(月)に発生いたしました大阪北部地震におきましてはNCVCも被災し、多くの皆様からのご支援をいただきましたことに、深くお礼を申し上げます。災害に耐えうるバイオバンクの運営に、NCBNとして今後も努めてまいります。

 

【国立がん研究センター(NCC)】

  2018年6月27日(水)から28日(木)に開催された「新しい治療法の開発を目指す患者由来がんモデル講演会」にて、約200名が参加し包括的同意によるモデル系の開発等の講演やシンポジウムを行いました。来年7月もNCCにて同じテーマで開催しますので、是非ご参集ください。開催案内URLから抄録がご覧になれます。
http://www2.aeplan.co.jp/pdcm2018/speaker.html

 

【国立長寿医療研究センター(NCGG)】

  2018年6月9日(土)開催の第4回バイオバンク連絡会(読売新聞ビル)において、NCGGの独自開発バイオバンクシステム(名称Biora)について、これまでの取り組みと今後の課題を発表しました。
  当日のテーマが「試料に付随する臨床情報」ということで、同施設における「電子カルテからのデータの取り出し方法とその方針」「匿名化に特化した施設内専用の仕組みの導入」を伝え、研究用臨床情報データの活用やその統合方法に関しては時間軸を念頭に置く必要があるのではと問題提起いたしました。

 

特集記事:中央バイオバンクとは
  2014年にNCBNニュースレター第1号を発行してから4年が経ちました。ここで改めて中央バイオバンクの機能と役割について紹介するとともに、今年2月に刷新されたNCBNウェブサイト、及び、使いやすさを追求して更新が進められているNCBNカタログデータベースについても、紹介したいと思います。
1.中央バイオバンクの機能と役割
  図1は、中央バイオバンクを含むNCBNの組織体制です。中央バイオバンク事務局は、NCBN事業が円滑に進むよう会議開催等の事務や、各NCバイオバンク事業の工程管理、試料活用希望者からの問い合わせ対応へあたります。また中央データベース・広報部門は、ウェブサイト管理やニュースレター作成等のNCBNの広報、並びに、各NCが保有する試料・情報の種類・所在を検索できるカタログデータベースの整備・運営等を担っています。カタログデータベース等を通じて利用希望者から寄せられた問い合わせを、事務局が各NCのバイオバンクに繋ぎます。中央バイオバンクでは、さらに、NCバイオバンク長会議や、各ワーキンググループでの検討や決定事項を踏まえて、実際の運用に反映させています。
図1 NCBNの運営体制
  このような運用の一つとして、2018年2月にはNCBNのウェブサイト<http://ncbiobank.org/>を新しくしました。刷新にあたり、利用希望者にとってのユーザビリティを高めること、すなわち「見たい情報の探しやすさ」「問い合わせやすさ」を満たすことを最優先に心掛けました。そのために、①メニューおよびコンテンツの再配置、②メニュー入り口の分離(初めてサイトを開いた人向けとすぐにでも利用申請を検討したい人向けに大きく二分)(3ページ・図2)、③問い合わせページの改善(同・図3)、④NCBNカタログデータベースの動画による操作説明の掲載、⑤研究実績・成果画面における各NCの論文実績の年度ごとのリスト化などを行いました。
2.問い合わせページの改善について
図2 NCBNウェブサイトトップページの変更点
  ③問い合わせページの改善では、問い合わせ内容のメニューで「試料・情報等の分譲・提供に関する事」を選択した際の入力項目が増えましたが、入力した情報はすべて、問い合わせメールを事務局に送信した後に、送信者にもメールで届きます。問い合わせからさらに利用申請へと進む際、申請書にこのメールの内容をコピーすることが可能ですので、従来よりも申請時の書類作成・内容確認作業の負担が軽減されました。将来的には、カタログデータベースの検索結果の画面から、検索条件の情報を用いて問い合わせメールを送信できるような仕様にしたいと考えております。また、英語版ページやスマホ対応等、今後も随時改善してまいりますので、皆様からの利用希望に関するお問い合わせをお待ちしております。
図3 NCBNウェブサイトお問い合わせページの変更点
3.カタログデータベースがさらに使いやすくなります
  カタログデータベース<http://www2.ncbiobank.org/Search/Search_>は、各NCで保有する患者の診療情報や試料数を総合的に収集し、集計・検索する仕組みです。カタログデータベースから、例えば研究に利用したい試料がどのNCに何件ほど存在するかなどを調べることができます。2013年の運用開始以来、より使いやすくユーザー目線にたった改変を進めてまいりました。例えば、①疾患に対する付加医療情報の追加、②分譲および共同研究に関する利用申請に係る条件の検索、③バイオリソース項目の変更、④喫煙・飲酒情報の追加、⑤病名のテキスト検索機能の追加(別画面で稼働)などです。
  この度、さらなる大きな進歩を遂げようとしています。まずは、①国立がん研究センター(NCC)の保有する試料・情報に関する付加医療情報について、データ連携機能を用いて追加する予定です(最大3169件)。また今後、②試料項目の細分化、分譲の可否等データ収集フォーマットを見直していく予定です。さらにリッチな情報と使いやすいシステムを目指してこちらも改善してまいります。ユーザーの皆様からのご意見も、ウェブサイトの問い合わせフォームよりお送りいただけます。

 

NCBNカタログデータベース検体登録情報(2018年6月30日時点)
  NCBNの活動にご理解、ご賛同いただきましてありがとうございます。患者さまのご協力により、NCBNのカタログDBでは多様な生体試料/疾患ごとに多くの件数を抽出することができるようになっております。
主な生体試料登録数一覧

この他、掲載したものの他にも場合によっては提供できる検体がある場合がありますので、
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ICD10コード別疾患登録数一覧
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